ちょっと空いてる時間にサラッと眺めることができる、答えがすぐに分かる宅建過去問です。平成4年(1992年)権利関係の過去問を見ていきます。

宅建過去問(平成4年)権利関係

【問2】Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ、Bは、Cにだまされて、善意無過失のDと売買契約を締結したが、Aは、Bがだまされたことを知らなかった。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

× Aは、Bが未成年者で、法定代理人の同意を得ないで契約を締結したことを理由に、当該契約を取り消すことができる。
× Aは、自らがだまされたのではないから、契約を取り消すことができない。
× Aは、BがCにだまされたことを知らなかったのであるから、契約を取り消すことができる。
〇 CがBをだましたことをDが知らず過失もなかったのであるから、Aは、契約を取り消すことができない。

【問3】Aの所有する不動産について、Bが無断でAの委任状を作成して、Aの代理人と称して、善意無過失の第三者Cに売却し、所有権移転登記を終えた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

× Cが善意無過失であるから、AC間の契約は、有効である。
× AC間の契約は有効であるが、Bが無断で行った契約であるからAは、取り消すことができる。
〇 Cは、AC間の契約を、Aが追認するまでは、取り消すことができる。
× AC間の契約は無効であるが、Aが追認をすれば、新たにAC間の契約がなされたものとみなされる。

【問4】AがBの所有地を長期間占有している場合の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

× Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。
〇 Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。
〇 Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了してもAは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗することができる。
〇 Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。

【問5】Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは契約不適合責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に不適合が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その不適合の存在を知っていた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

× 特約を結んだ以上、Aは、Bに対し、契約の解除をすることができない。
〇 特約があっても、Aは、不適合の存在を知ったときから1年内に通知をすることで、Bに対し、契約の解除をすることができる。
× 特約があっても、Aは、不適合の存在を知ったときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。
× 特約があっても、Aは、土地建物の引渡しを受けたときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

【問6】Aは、BのCに対する債務を担保するため、Aの所有地にCの抵当権を設定し、その旨の登記も完了した後、建物を新築して、Dに対し当該土地建物を譲渡した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

× Cは、Bが債務を返済しないときは、Dに通知しなければ、抵当権を実行することができない。
× Cは、抵当権を実行して、土地及び建物をともに競売し、建物の売却代金からも優先して弁済を受けることができる。
× Dは、Cの抵当権が設定されていることを知らなかったときは、Cが抵当権を実行する前においても、Aに対し、売買契約を解除することができる。
〇 Dは、B及びCの反対の意思表示のないときは、Bの債務を弁済して、抵当権を消滅させることができる。

【問7】不動産の売買契約における手付に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

× 当該契約が宅建業者の媒介によるものであるときは、契約に別段の定めがあっても、手付は解約手付となる。
× 解約手付の契約は、売買契約と同時に締結しなければ、効力を生じない。
〇 買主が手付を交付した後、契約に基づいて中間金の支払いを済ませた場合でも、契約に別段の定めがなく、売主が履行に着手していなければ、買主は、手付を放棄して、当該契約を解除することができる。
× 買主が手付を交付した後、売主の責めに帰すべき事由により売主の債務が履行不能となった場合において、損害賠償額について契約に別段の定めがないときは、その額は手付の倍額とされる。

【問8】居住用不動産の売買契約の解除又は取消しに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

× 当該不動産に不適合がある場合、居住の用に支障がない軽微な不適合でも、買主は、当該契約を解除することができる。
× 買主が支払期日に代金を支払わない場合、売主は、不動産の引渡しについて履行の提供をしなくても、催告をすれば、当該契約を解除することができる。
〇 買主のローン不成立のときは契約を解除することができる旨の定めが当該契約にある場合において、ローンが不成立となったときは、売主がその事実を知っていても、買主が解除の意思表示をしない限り、契約は解除されない。
× 当該契約の締結は第三者の詐欺によるものであったとして、買主が契約を取り消した場合、買主は、まず登記の抹消手続を終えなければ、代金返還を請求することができない。

【問9】不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

× 不法行為の被害者は、損害賠償債権を自働債権として、加害者に対する金銭返還債務と相殺することができない。
〇 不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者が催告をするまでもなく、その損害の発生のときから遅滞に陥る。
× 売主及び買主がそれぞれ別の宅建業者に媒介を依頼し、両業者が共同して媒介を行った場合において、両宅建業者の共同不法行為により買主が損害を受けたときは、買主は、買主が依頼した宅建業者に損害賠償を請求することはできるが、売主が依頼した宅建業者に損害賠償を請求することはできない。
× 従業員Aが宅建業者Bの業務を遂行中に第三者Cに不法行為による損害を与えた場合、Bは、その損害を賠償しなければならないが、Aに対してその求償をすることはできない。

【問10】Aは、木造の建物の所有を目的として、Bが所有する土地を期間30年の約定で賃借している。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

× 期間満了前にAが鉄筋コンクリート造りの建物を無断で増築した場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、借地権の存続期間は、増築のときから20年となる。
〇 期間満了前に建物が滅失し、Aが再築をしない場合、期間満了の際にAが契約の更新の請求をしても、Bが異議を述べたときは、当該契約は更新されない。
× 期間満了後Aが当該建物に居住して土地の使用を継続している場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、期間の定めのない借地権が設定されたものとみなされる。
× 期間満了前に建物が火災により滅失し、Aが木造の建物を再築した場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、借地権の存続期間は、建物滅失の日から20年となる。

【問11】建物の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

× 賃借人が家賃を支払おうとしても、賃貸人がこれを受領せず、以後の家賃の受領を明確に拒んだ場合においても、賃借人は、家賃を供託しないと、履行遅滞になる。
× 賃貸借契約の更新の際、家賃の増額について賃貸人の請求があったときは、賃借人は、これを拒むことはできない。
× 賃貸借契約の期間が満了した場合において、賃貸人が自ら使用することを必要とする等正当の事由があるときは、賃貸人は、あらかじめ更新拒絶の通知をしなくても、賃貸借契約の更新を拒むことができる。
〇 賃貸人の承諾を得て、賃借人から建物を転借している場合、賃貸借契約が合意解除されても、転借人の権利は、特段の事由がある場合を除き、消滅しない。

【問12】A・B・C3人の土地の共有(持分均一)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

× Aの反対にかかわらず、B及びCが同意して管理行為を行った場合、Aは、その費用の分担を拒むことができる。
〇 Dが不法に土地を占拠した場合、Bは、Dに対し、単独で土地の明渡請求をすることができる。
〇 Cが相続人なくして死亡し、特別縁故者に対する財産分与もなされない場合、Cの持分は、A及びBに帰属する。
〇 Aは、特約がなければ、いつでも土地の分割を請求することができる。

【問13】遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 遺言は、満15歳に達すればすることができ、法定代理人の同意は必要でない。
× 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺贈の侵害額を請求することができる。
〇 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは、その遺贈は効力を生じない。
〇 遺言者が遺贈をしても、受遺者が遺贈の放棄をしたときは、遺言に別段の意思表示がない限り、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。

【問14】不動産登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.登記済証が滅失した場合には、当該登記をした登記所から登記済証の再発行を受けることができる。法改正
〇 権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
× 抵当権の設定の登記の申請は、被担保債権の債権者が登記権利者、債務者が登記義務者となって行わなければならない。
4.所有権の移転の登記の申請は、郵送によりすることができる。法改正

【問15】不動産登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.予告登記は、登記原因の無効又は取消しによる登記の抹消又は回復の訴えが提起された場合に、訴えの提起があった事実を公示することによって、第三者に不測の損害を与えないようにすることを目的とする登記である。法改正
〇 仮登記は、本登記をするのに必要な手続上の要件又は実体法上の要件が完備しない場合に、将来その要件が備わったときになすべき本登記の登記簿上の順位を確保しておくために、あらかじめなされる予備的な登記である。
× 権利の更正の登記は、既存の登記について、当初から錯誤若しくは遺漏があり、又は後発的に実体関係に変化があったため、登記されている事項の一部が実体関係と一致しない場合に、これを訂正するためになされる登記である。
〇 付記登記は、主登記との同一性を保持しようとする場合又は付記登記によって表示される権利が主登記と同一の順位を有することを明らかにしようとする場合になされる登記である。

【問16】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

× 共用部分に関する各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によることとされており、規約で別段の定めをすることはできない。
× 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、区分所有者はその有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないこととされており、規約で別段の定めをすることはできない。
× 管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、規約の定めのいかんにかかわらず、各区分所有者の共用部分の持分割合によることとされている。
〇 建物の区分所有等に関する法律第62条による建替えは、集会において区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数による決議で行うことができることとされており、規約で別段の定めをすることはできない。


宅建合格!過去問活用法(権利関係)

権利関係は「複雑な出題パターン」を掴むため、宅建業法は「やらしいひっかけパターン」を掴むため、この2科目は少しでも多くの過去問に目を通し、広く浅く回転させてください。逆に法令制限と税その他は「単純知識を知っているか」勝負となりますので、基本書と過去問で正確な知識を身につけることがポイントとなります。

宅建試験で最も難易度が高いのが『権利関係』です。単純暗記科目である他科目とは異なり、流れに沿って理解し、本試験で「何を聞いているのか」まで判断できる応用力を身につける必要があります。難易度は高めですが、流れに沿って一度モノにできれば、他の暗記科目よりも忘れにくいと言えます。難易度が高めと言っても、面倒なのは代理や抵当権など一部だけです。大部分は簡単です。膨大な民法から債権譲渡や寄託など、毎年数問はマイナー問題も出題されますが、そこまで勉強の手を広げる必要はありません。取れる問題だけを確実に取っていきましょう

宅建試験の『権利関係』は民法以外に、借地借家法2問区分所有法1問不動産登記法1問が出題されます。借地借家法は覚えることも多いですが、必ず2問の出題が約束されている貴重なところです。ここはしっかり勉強して、最低1点、なるべく2点を確保しておきましょう。不動産登記法は簡単な問題と難問題の差が激しいので深入りせず、簡単な問題は確実に取れるよう基本だけしっかり押さえておきましょう。区分所有法は以前は難問題の宝庫でしたが、近年は驚くほど基本問題ばかりの得点源となっていますので、重要ポイントをしっかりマスターしておいてください。民法以外の4問で3点を確保できれば宅建合格は目の前です!

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